松山選手をマスターズ優勝に導いた魔法のメトリクス(評価基準)

Matsuyama Strokes Gained Analytics Masters 2021

2021 マスターズ優勝者のパフォーマンスを、ストロークス・ゲインド・アナリティクス(以下 SGA)を用いて分析してみました。

PGA ツアーの週ごとの賭け金配当率と勝率は、主にプレーヤーがコース上で稼いだ(もしくは失った)ショット数である、ストロークス・ゲインド(以下 SG)のような高度な分析をもとに算出されます。

先週の日曜日、オーガスタ・ナショナルの 18 番ホールで松山選手が最後のパットを沈めて 2021 マスターズで優勝することは、誰も予想していなかったと言ってもいいでしょう。

米国のカジノ、賢者、予言者や、米国同様にゴルフ人気の高い彼の母国、日本のゴルフ通でさえもです。

なぜでしょうか?

それは単純に分析結果が彼の有利には働かなかったからです。

間違いなく彼は長年にわたって超一流のゴルファーで、コロナ禍で中断を余儀なくされた 2020 年には 5 回のトップ 10 入りを果たしました。8 年間の PGAツアープロのキャリアにおいても優れたショットメーカーであり続け、ストロークス・ゲインド・アプローチは +0.52 から +1.02 を記録しています。

ところが、パットの評価は平均よりも低く、ストロークス・ゲインド・パッティングはそれを裏付けています。2020 年は -0.46、2021 マスターズの前までは -0.29 でした。

伝統的には、グリーンジャケットの名誉を勝ち取るプレーヤーは皆、パターを操る魔術師でなくてはならないと考えられています。

マスターズは SGA を公表していないので、私たちが松山選手の全 278 ショットを Arccos Caddie アプリに入力して、SGA に基づく独自の詳細なレポートを作成しました。

「平均的な」ツアープレーヤー(ハンデ 5 )と比較して、カテゴリーごとに見ていきましょう。

ストロークス・ゲインド・ドライビング

「ドライブは見世物、パットは食い扶持」という古い格言がありますが、近年はティーショットの飛距離がすべて、のような風潮がありますよね?

さて、オーガスタ・ナショナルの起伏に富んだフェアウェイでの松山選手のストロークス・ゲインド・ドライビングによれば、そうではないようです。

驚くことに、彼のストロークス・ゲインド・ドライビングは 4 ラウンドを通して +1.6 でしたが、ティーショットの平均飛距離は下から 3 番目でした。

歴代優勝者を見ても、ドライビング飛距離ではフィル・ミケルソンとフレッド・カプルスは松山選手よりも飛ばしており、松山選手はラリー・マイズとホセ・マリア・オラザバルだけを上回っています。

フェアウェイキープ率は、リーダーボードの首位に立った土曜日は 14 のフェアウェイのうち僅か 5 つのみで 32 位。日曜日は倍増の 10 で 71.43% でした。

これは、ドライビング飛距離とフェアウェイキープ率という従来のスタッツでは、全体像を見通すことができないという良い例です。

さらには、マスターズを含む多くのトーナメントでは、ドライビング飛距離のサンプルデータは 2 〜 3 ホールのみで取得されていて、オーガスタ・ナショナルでは、5 番と 15 番ホールのみのデータです。 

ストロークス・ゲインド・アプローチ

松山選手の 10 年近くにわたる卓越したアイアンとウェッジの実績から予想される通り、パーオン率(GIR)は 6 位で、4 ラウンドの平均で 69% を記録しました。

ストロークス・ゲインド・アプローチは +0.4 で、堅実ですが抜群ではありません。

より詳しく見てみましょう。

ピンまでの距離別の SG は、50 - 100 ヤードでは + 1.0、100 - 150 ヤードでは -0.1、150 - 200 ヤードでは +0.4、200 ヤード以上では -0.1 でした。

ライごとの SG は、パー 3 のティーショットでは +0.2、フェアウェイでは +0.1、ラフでは +0.1、バンカーでは -0.1 でした。

hideki masters metrics from weekend

ストロークス・ゲインド・ショートゲーム

土曜日の午後に雨による中断から再開した後、彼のグリーン周りでのパフォーマンスが実に素晴らしかったことに気づいたでしょうか。

0 - 25 ヤードのチッピングの SG は +0.8 で 、ピンまで平均 6 フィート(約 1.8 m)に寄せて、すべて 1 パットでした。

バンカーショットも素晴らしく、25 - 50 ヤードでの SG は +0.1 で、カップまで 8 フィート以内に寄せています。
 
パッティングの SG は -0.3 とまあまあの出来で、全体では 26 位でした。

結論:松山選手はグリーンジャケットを腕にかけて日本に帰国するために、やるべきことを適切なタイミングで遂行しました。

 

最後に

Arccos Caddie のストロークス・ゲインド・アナリティクス(SGA)では、従来のスタッツよりも的確な、早く上達するために本当に必要なデータを知ることができます。

アプリ画面左下の「プレーヤー」アイコンから、目標ハンデ (20 〜 Tour Player) を選び、スタッツを計算する対象のラウンド数 (1 〜 50) を設定するだけです。

SGA は、詳細な分析とトレンドの把握、効果的な練習やラウンドでの実践にとても役立ちます。 

松山選手の 2021 マスターズでの 4 ラウンドを、ストロークス・ゲインド・アナリティクス (SGA) 機能が実装された新しいダッシュボードで見てみましょう!

(日本語版の新しいダッシュボードは 2021 年中に実装予定です)